接着芯を貼る目的
芯をはる目的として主なものには以下の三つがあります。
- シルエットづくりシャツの衿やカフスなどの形をしっかりさせるため
- 補強 ファスナーやボタンをつけるところなど1箇所に力がかかったり、摩耗しやすいところに貼って、強度を高めます
- 生地を扱いやすくする
一般に布帛の生地は斜め方向に繊維がずれやすいです。縦や横にひっぱってもあまり伸びなくても斜め方向だと伸びます。縫製するときに不都合がある場合に接着芯で動きを減らす目的で貼ることがあります。
接着芯を貼る
芯を貼るときに大事なことは
1.熱
2.蒸気
3.圧力
といわれています。
熱と蒸気で樹脂をとかして
圧力で布地の繊維にしっかりくっつけるのです。それがうまくいかないとはがれてしまいます。本来、接着芯は接着機械で接着します。大きな接着面を持ち熱と圧力と蒸気を加えるものです。
ただ、家庭では家庭用アイロンを使用するので、芯貼りは時間のかかる作業です。
最近では家庭用アイロンでうまく接着ができる芯も販売されています。少し高価なのですが、作業をらくにしたいときは利用する価値があると思います。
家庭用アイロンは蒸気アイロンであることが多いと思います。140度くらいにして、蒸気をオンにします。
芯によっては「蒸気」をあててはいけないと指示のあるものもあります。その場合は指示通りにしてください。
表裏に注意して生地に芯地を重ねあて布をします。(あて布はアイロンに芯の樹脂がくっつかないようにするためです。)
アイロンはすべらさず、端から少しずつ押さえながら、体重をかけて、一ヵ所10秒以上かけます。蒸気の出る穴は圧力がかかっていませんから、その部分にも同じように再度かけてください。
全体に接着できたら、熱と蒸気が抜けるまで平らに保ち次の作業に移らないで下さい。これは樹脂がしっかり布地の繊維にしっかりくっついた状態で安定させるためです。
芯を貼ったパーツは型紙に合わせてみて必要なら周囲をカットします。
接着芯の種類
芯の種類は、主に「織物芯」「不織布芯」があります。手作り用の芯は「不織布」が多く、ほんの数種類しか扱っていないお店がほとんどですが、アパレル用の芯は本当にたくさんの種類があり、わたしの経験上は「織物芯」を使われることが多かったです。「不織布芯」しか手に入らない場合は生地の厚みに合わせて選ぶといいでしょう。
一般的なリネンやコットンですと、普通地用で大丈夫です。
接着芯の選び方
以下はアパレルでの接着芯の一般的な選び方です。と言っても、わたしがまだアパレルに在籍していた頃の話ですから、今は間違った情報かもしれませんが、そんなもんなんだなぁくらいに思ってくださればいいと思います。
まずはどんな風合いにしたいかを考えていくつか候補の芯地を表地に貼ってみます。(アパレルにいるときは副資材やさんに生地を渡して貼ってもらっていました。)
今回は8種類を試してみました。
貼った時点で、触ってみて好みの風合いでないもの、はがれるもの(剥離)、しみだしのあるものは候補からはずします。
※しみだし=芯の樹脂(のり)が表にしみて出てしまっていること
(もともと仮接着芯のときは「剥離」しても構いません)
芯地の選び方
このときはタテ方向に「ハリ」のあるものを求めていたので芯を貼ってみた表地を縦方向にふんわり折りたたみました。
写真で見ると、左から2番目のカーブが一番大きいことがわかります。「カーブが大きい=ハリがある」ということですので、選ぶ芯は左から2番目です。
希望の風合いが「とにかくやわらかく」とか「かっちりカタチを作りたい」など
求める風合いによって接着芯の選択は変わってきます。
とはいえ、家庭での洋裁のときにこんな接着テストを毎回しているわけではありません。
「大体こんな芯でいいかな」くらいの感じの選択をしています。
接着芯は表地に影響を与える
接着芯は生地に直接貼るので表地への影響があります。接着芯を貼る目的以外に悪い影響も起こるのでそれを確認するためにも接着テストが必要になります。
風合いのイメージがあって、それにこだわりたいときはこんなやり方を試してみてくださいね。
では今日もぼちぼち行きましょう。
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