直木賞受賞作
芥川賞の「推し燃ゆ」に続き
直木賞を受賞した西條奈加(さいじょう・なか)さんの
「心淋し川」を読みました。
(amazonより略歴転載)
【著者略歴】
西條奈加(さいじょう・なか)
1964年北海道生まれ。
2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノべル大賞を受賞し、デビュー。
2012年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、
2015年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞を受賞。近著に『亥子ころころ』『せき越えぬ』『わかれ縁』などがある。
またまた受賞作品。
内容は受賞のニュースでちらっと聞いて
「面白そう」と買ってみたのです。
失礼なことですが時代小説と思っていませんでした。
読み始めて1ページ目で
「なんか変な言い方、古い時代の話??」
と、やっとここで気づきました。
この小説は「心町(うらまち)」にある
「心淋し川(うらさびしがわ)」のほとりに住む人たちの
人間模様6個の短編で構成されていて
6個のストーリーは時に重なりあって
一つの物語として完成しています。
生々しくもぞっとしたのは「冬虫夏草」
「華岡青洲の妻」の姑のことを思い出しました。
多かれ少なかれ女性はそういう部分があるのかもと戦慄しました。
「他者」に依存している「生きがい」は怖いと思いました。
幸せな気持ちなる「はじめましょ」
利発な女の子と料理人の話です。
料理人のやさしさと、料理に対する真剣な姿勢と
美味しそうな料理が出来るまでの過程も
動画で手元をみているように鮮やかに感じました。
憎くて寂しい。ゆるすこころ「灰の男」
心町の相談役的人物のうらばなしがこの本の最後の短編です。
親として。人間として。共通する感情が寂しくて優しい。
読後、作者の人間愛を感じた
心淋し川の町は、吹きだまりのような場所にあたり
裕福な人はおらず訳ありな人がばかりが住んでいるところです。
けれど、その小さな町の中には
健気に生きる人たちの人間模様が繰り広げられていました。
それぞれの話の最後にお金持ちになった人はいませんでしたが
生きがいを見つけ、その人なりの幸せを手にしました。
幸せを見つけるのは、人と交わる過程を経てからのことでした。
その交わりの中の「温さ(ぬくさ)」をここちよく感じました。
今日は西條奈加さんの「心淋し川」を読んだ感想でした。
西條奈加さんインタビュー↓
では今日もぼちぼち行きましょう。
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